図面計画 3Dパース・CAD図面制作

外構エクステリアの図面屋をしています。手描きの外構スケッチを、CADできれいに清書して、PDFにしてメールで納品します。

「太陽」を見てみました

「太陽」を見てみました。おもしろかったです。
敗戦直前から半年後ぐらいまでの、昭和天皇の話です。
国家の最高権力者、生物学者、父親として、ひとりの人間をきちんと描いています。

・2005年の公開です。ロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督作品です。
 「「太陽」という昭和天皇の映画がつくられた。
  ロシア・イタリア・フランス・スイス合作映画だ。
  イッセー尾形さんが主演だ。でも日本公開は難しいだろう」という話を、
 当時なにかで知ったんですよね。

・ああそうなんだと思って、そのまま忘れていたんですが
 最近になって思い出して調べてみたら、日本でも2006年に公開されたそうです。
 DVDになってるのを知ったので、借りてきました。

・早速見てみました。ああこれは、日本では作れなかっただろうな、と思います。
 今なら、どうなんでしょうね。だいぶ関係者がいなくなっていますから。
 NHKETV特集で、片岡孝太郎さんが昭和天皇を演じているのが許されてるんだから
 今ならもしかしたら、撮れるのかもしれないです。
 でも料理を食べた後、口臭を気にする天皇は、やはり難しいだろうなとも思います。

昭和天皇は最初から最後まで、西洋風の君主として描かれています。
 西洋風の服を着て、朝ごはんも西洋風の料理を食べています。
 そういえば、着物を着た天皇ってあんまり見たことないな、と思いました。

マッカーサーが、着物を着てこなかったのかとたずねますが
 これに対して天皇は、着物を着るのは式典のときだけ、と答えています。

・明治時代以降の天皇制は、西洋の君主制をまねたものであるということが
 この映画では、わかりやすく表現されています。

・間違いが、いくつか仕込まれています。わかりやすいのは和歌と人間宣言ですね。
 おそらく、わざとやったんだろうな、と私は思います。
 この部分は事実と違うじゃないか、だからこの映画はダメだ、論評に値しない、
 そうやって日本人に指摘させてあげることが必要だったのです。

・結果的にそれは成功して、日本公開もされたし、DVDにもなったし
 今現在、この映画を私が見ることができているわけです。
 とてもよく、日本と日本人を研究していますね。すばらしい戦略だなと思います。

・わかりやすくて大きな間違いを仕込んでいなければ
 口をずっと動かしているのとか、口臭を気にしたり、妙な発言をする部分は
 もっと批判されただろうし、日本公開もDVDも無理だったかもしれないですね。

・戦争中はとくに、天皇の話は秘密にされていたから
 どんな人なのかよくわからないんですよね。今でもそうだと思います。

・極光(オーロラ)の話もそうだし、葉巻で火を移したりすることはあり得ないし
 天皇が英語をしゃべっているということも、多分ないだろうなと思います。
 でもこの場面はおもしろいですし、人間性が表現されているなと感じます。

・生身の人間を神と信じる日本人は、外国人にとっては不思議な存在でしょうね。
 この映画を見ると、外国の人が日本人をどう見ているかわかります。
 日本人は、北朝鮮の金一族の独裁政権北朝鮮の人々を見て笑うけれど
 同じくらいかそれ以上に、笑われているのかもしれないな、と私は思います。

「太陽」を見てみました。おもしろかったです。とてもいい映画です。
国家の最高権力者、生物学者、父親として、ひとりの人間をきちんと描いています。
日本では無理と聞いていたのであきらめていたけど、見ることができてよかったです。